反射テストの意義
 数学・算数はスポーツに似ています。足が速いこと、持久力があることはほとんどのスポーツにおいて武器になりますが、数学・算数において計算スピードの速さと計算精度の高さも同様と言えます。つまりスポーツにおける身体能力と数学・算数における計算力は相似の関係にあるのです。色々な生徒を見てきて言えることは、数学・算数が得意な生徒の中に計算力がない人はほとんどいませんでした。逆は必ずも真とは言い難いですが、計算力があって初めて数学・算数が楽しめると言えます。
 少し前に「数学は暗記だ」と言っていた人がいました。一理あります。しかし、計算力がないのに暗記だけで点数が伸びるわけはありません。テクニックだけでこなすには、センター試験を筆頭とする日本の受験システムに太刀打ちするのは難しいと思います。「読み・書き・そろばん」の伝統がある日本では、計算力の比重が他国に比べても高いと思われます。
 「わかること」と「できること」は違います。マルセイユ・ルーレット(サッカーのテクニック)のやり方が「わかって」も、それが試合で「できる」かどうかは別問題でしょう。数学・算数でも、「わかった」からといってその人が「できる」かどうかは別問題です。「できる」ためには計算力は必須であり、そのために何をすればいいのか考えることが重要です。
 数学の先生たちは計算力がありますが、それをどう鍛えたか忘れがちです。特に大学受験界では計算力の重要性はないがしろにされているように思えます。そのため計算力をどう高めるかの指導が十分とは思えませんし、そういうことをテーマにした教材も書店でほとんどみかけません。どんな人でも計算力を鍛えるために訓練した時期があったはずで、それを土台にして数学を解いています。数学ができないと嘆く前に、計算力を鍛えるために今まで何をしてきたかを自問して下さい。毎日訓練したのか、質・量ともに十分であったかを自問して下さい。
 スポーツを真剣にしたことがある人なら身体能力を高めるために日々の訓練がどれだけ大切か痛感しているでしょう。計算力もしかりです。ここにある反射テストがその助けになれば幸いです。必ず時間を計って、自分にプレッシャーをかけて取り組んでみて下さい。できなければ、再チャレンジしてみて下さい。毎日すれば驚くほど成果が上がるでしょう。頑張って下さい。

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